両式テニス

軟式・硬式どちらのテニスも同時に楽しむ新しいテニス理論

練習すればするほど下手になるポリガット(硬式編)

前回落ちで使ったスパゲッティとは、ガットを編み込まないで張る方法で、スゴいスピンがかかるため禁止されました。

現行ルールでは、ポリガットよりスピンがかかるガットはありません。

私はストリンガーを名乗っていますが、ストリングのことをガットと言ってしまうことが多いです。

皆さんは、どうですか?

ガットとは、現在は牛の腸(昔は羊など)でできたストリング(ナチュラルガット)のことを指します。

なのでシンセティック(化学繊維)であるポリエステルやナイロンのことをガットと言うのは正確には間違っています。

でもストリングより言いやすいので、これからも「ポリガット」「ナイロンガット」と言うことがありますが、私のブログを読み続けようと思っている皆さんは、このことは頭の片隅に置いておいて下さいね。

回転重視の現行硬式テニスにおいては、ポリエステルに勝るシンセティックストリングはなく、ボールに回転をかける性能においては、ナイロンガットはポリエステルガットに遠く及びません。

将来プロテニスプレーヤーを夢見る硬式テニスの試合で勝ちたいジュニアのために、早い方なら、小学生の中学年からポリガットを使わせている親御さんもいるのではないでしょうか。

張り替え数時間後のポリガットでテニスをすれば、すぐに分かることなのですが、その打球感は翌日にはもう味わえません。

プレイ中にも徐々に打感が悪くなっていくことも、すぐに実感できます。

ポリエステルは、ナイロンに比べてすごく熱に弱いので、ボールを打った時に激しくスナップバックするたび、縦糸と横糸との摩擦熱で常に急激に伸びていきます。

張替え直後は、特に急激に伸びていくので、その心地よい打感がなくなっていく様子がすごく良く分かるのです。

心地よい打球感が一定期間続いて、ある時突然、打感が悪くなる訳ではありません。

徐々に、打球を打ち続ければ、打感は常に変化するのです。

雑誌やネットで、テンションが下がっていく様子を表したグラフを見かけますが、数時間で急激に面圧が下がり、1日経過後に安定し、また2週間後に面圧が下がると、それ以後全く下がらないというのを見せられ、まるで「2週間までは反発力がある」という印象を受けてしまいますが、ボールを打たない場合のデータがほとんどで、ボールを打ってテニスを楽しむ私たちの参考になるものではありません。

「ポリガットを使っていると、2週間で急に感触が悪くなったという体験と一致する」という記事をみかけたことがありますが、それは気のせいです。

ガットは、同じテンション(正確には、テンションは張る変える時にストリングを引っ張る力を重さの単位で表したもので、ストリングを張った後のストリングがボールを押し返す力は面圧と言いますね)を保てる性質のものではありません。

ボールを打てば、なおさら同じ面圧を少しの間も保つことはできないのです。

では毎日数時間の練習をするジュニアのポリガットは、いつまでもつのでしょうか?

答えは、「いつまでという境界線はない」です。

ガットは徐々に面圧が下降するもので、ある時、急に使えなくなる時がやってくる訳ではないからです。

では、いつ張り替えれば良いのでしょう。

ナイロンだと2週間ですぐに切れるからポリガットに変えたという人には残念な話ですが、ポリガットを2週間も使うのはオススメできません。

打感を追求しない戦略で試合をする一般プレーヤーなら構いませんが、戦略より感覚で試合に臨むジュニアなら、張り替え時期は試合までに何回新品ガットを使わせて、試合と同じ状態で練習させてあげたいかによります。

どういうことかというと、現代の硬式テニスでは、ナチュラルガットを除けば、張り替え直後の新品ポリストリングに勝るストリングはありません。

プロを少しでも意識するジュニアなら、最低限、試合前日には新品ガットに張り替えると考えれば・・・・

新品ボールを新品ガットで打つ試合に慣れさせるため、その新品状態の面圧と空気圧が下がって行く状態を数多く経験をさせるのが、勝利への近道となります。

「テニスは練習をすると下手になる」という言葉があります。

その原因は、試合とは違う空気圧のボールを試合と違うストリングで打つ練習をたくさんするからです。

試合とは違う状況に慣れれば慣れるほど(練習すればするほど)練習は上手くなるかもしれませんが、試合には勝てなくなっていくのです。

試合に勝ちたいなら、新品ボールと新品ガット以外でボールを打つ練習を減らし、体力づくりや戦略を考える時間を増やすことの方がマシとなってしまうのです。

試合前以外で、例えば1年に12回しかガットを張り替えてない、つまり1ヶ月に1回しか試合と同じ状況で練習させてないなら、「なんでいつもと同じようにできないの」と子供に対して思っても、それは「いつもの練習と違うから」ですので仕方ないことなのです。

でも感覚の良いジュニアは、試合中にその新品のボールとガットに打ち方を合わせる適応能力が高いんです。

その才能あるジュニアに、才能で劣っていても、道具で勝ちましょうってのが、ナツ流テニスです。

今日は長文になってしまいましたが、これからもお付き合いいただければ、嬉しいです!

ナツでしたテニス